コラムNo.9:いまだからこそ欲しい「土間空間」

「土間」というと古い日本家屋を思い浮かべる方も多いと思います。でもいま、注文住宅やリフォームでは土間を取り入れた間取りが人気で、「土間」といっても昔のような、庭先に屋根があるだけといった状態とは全く違う、洗練された空間に進化をとげています。今回は土間的空間の変遷とその使い方をご紹介します。

テラコッタ調タイルの王道 コット・ロッジ

土間のいまむかし

「土間」という言葉は江戸時代、舞台を見るための観客席で地面に直接ゴザを敷いてみる場所を指したという説があります。そこから派生して住宅のなかで、玄関から居住空間までの、靴を履いたまま使う空間を土間と呼ぶようになりました。火を燃やしたり、水を使ったりするため炊事場も土間にあることが多く、また、機織りや農作業のための道具を直す場所としても使われていました。古い日本家屋はこの頃の、古民家や昔話に登場する家のイメージではないでしょうか。

かまどでごはんを炊くことがなくなった現代でも、地方の農家には、キッチンには外から土足で入れる家があります。これは、農作業の合間に食事をとるのに便利だからです。

高さは地面と同じで、リビングなどからは一段低くなっているのが一般的でしたが、最近はバリアフリーでフラットになっている家も増えて来ました。つまり、高さは同じでも、土足で使う空間を土間というように定義づけてよいと思います。土足の空間はコンクリートやタイルで、靴を脱いで使う空間はフローリングで、などと素材を変えることではっきりと使い分けができます。

土間空間のメリットと作り方

では、土間はどのように使われているのでしょうか?
多いものは、シュークロークなどの玄関収納です。靴だけでなくベビーカーや子どもの三輪車、アウトドアグッズなど玄関に置きたいものは意外と多いもの。マウンテンバイクなどが趣味の人も、バイクの置き場所としてだけでなく、メンテナンスを行う場所としても利用するため、広く土間をとっています。

また、キッチンと玄関をつなぐように土間を作り、一部にパントリーを設置すれば、キッチンから直接行ける食糧貯蔵庫として便利です。買い物から帰って買い置きの缶詰やお酒などの重いものをそのまま保存でき、使うときはすぐ取り出せる、という動線ができあがるわけです。

収納だけに限らず、薪ストーブの設置場所としても土間はよく使われています。汚れてもお掃除がしやすい点、冷えやすい土間も大きな熱量で温められることで相性がよく、人気です。

マンションでも使いたいおすすめ素材

土間は戸建てのものというイメージが強いですが、マンションリフォームでも土間を設けることで便利に、すっきりと暮らすことができます。マンションによくあるのが、北側に玄関と居室、廊下と浴室をはさんでリビングに抜ける長方形の間取り。リビングなどは南側で明るいのですが、玄関側に設けられた居室が暗く、廊下を人が通る足音などが気になることもあり、あまり使われていないという話をよく聞きます。この北側の部屋を思い切って玄関とつなぎ、他の居室の収納を集約することで、ひと部屋減らしても、かえってリビングや寝室などの居室を広く使うことができるのです。また、玄関も広く、北側とはいえ居室の窓が取り込まれることで明るく、使いやすくなります。

マンションはとくにフラットに土間を設けることが多いため、床材の使い方が重要です。居室の床とはっきり区別ができて、かつ清潔感があり、埃の出にくい素材ということで、タイルがよく使われています。ナチュラルなテラコッタタイルや高級感のある天然石調タイルなど、さまざまな種類があり、キッチンや洗面室などの水まわりと統一して使うのもおすすめです。

入ってすぐ、ゆったりとした玄関空間がひろがることで、家全体のイメージが伸びやかなものになります。一戸建て・マンションに限らず、土間は十分に検討する価値がある空間ではないでしょうか。


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